歯周病の進行メカニズム

歯周病のメカニズム

新しい研究の結果、歯周病とは以下のようなメカニズムで進行していくことが明らかになりました。
  1. 歯周病菌に感染する
    そもそも歯周病菌とはPg菌などの「嫌気性菌」と呼ばれるもので、これらは酸素のない所でないと生息できません。つまり、歯周ポケットの奥深い所に生息しているものなのです
  2. その嫌気性菌はLPS(リポ多糖体)と呼ばれる内毒素を産生します
  3. LPS(内毒素)は身体の様々な細胞に刺激を与えて、そこから炎症性サイトカインという物質が分泌されます

炎症性サイトカインとは

  1. 炎症性サイトカインは線維芽細胞やマクロファージなどの細胞を刺激して、そこから破骨細胞分化因子(RANKL)という物質を分泌させます
  2. プレ破骨細胞(骨を吸収させる細胞)上にある受容体とRANKLが結びつくと破骨細胞が一気に成熟します。破骨細胞により歯槽骨が吸収され、歯周病が進行していきます
歯周病が進行しやすい方(ここではハイ・リスクの患者さんと呼びます)では、これらのLPSに身体が過剰に反応し、そして多くの炎症性サイトカインを産生することが重症の歯周病になる理由であるということが近年明らかになってきました。
多くの嫌気性菌が生息しており、その結果、炎症性サイトカインが多量に分泌されていると思われるので、歯肉が非常に強い炎症を起こしています

軽度歯周炎の症例

歯周病CASE-1

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重度歯周病の方のための歯周病治療

前述の通り、歯周病になりにくいか、なりやすいかは、細菌の産生物質により身体が過剰反応するかによります。よって、歯周病にはハイ・リスクの患者さんとそうでない方がおられます。これは体質的・遺伝的素因と言い換えることができます。 では、体質的・遺伝的素因を持っておられる方の歯周治療は上手く行かないのでしょうか。 いいえ、そうではありません。 前述した通り、歯周病の菌というのは嫌気性菌であり、換言すると、酸素のある所では生息できません。つまり、歯周ポケットを浅くすると生息できないということです(深海魚が浅瀬で生息できないのと同じことです)。重度の歯周病患者さんには、歯周ポケットを浅くしてあげることが長期的安定のための絶対条件となります。 進行した歯周病の治療には総力戦となります。 二階堂歯科医院では、重度の歯周病の患者さんのために以下の4つの治療法を適用し、長期的管理に成功しています。

病因(リスク・ファクター)の排除

代表的なリスク・ファクターは「タバコ」、「糖尿病等の全身疾患」、または、歯ぎしり等によって引き起こされる「咬合性外傷」です。患者さんが持っていらっしゃるリスク・ファクターを可能な限り排除することが重要となります。

細菌の排除

みなさんは胃潰瘍の治療法が劇的に変わったことをご存知ですか。ピロリ菌という菌が胃潰瘍の原因であるということが解明されてから、胃潰瘍治療ではピロリ菌の除去に重点が置かれるようになりました。歯周治療においても、重症になられる方はPg菌など嫌気性菌の関与があります。そこで、通常の治療で歯周病菌が無くならない場合、当院では細菌検査を行い、抗菌治療により病原性の強い歯周病菌を排除します。

確定的な歯周治療

確定的治療というのはまず深い歯周ポケットを失くすことを目的としています。それは例えるならば、深海を東京湾のような浅瀬にしてあげることです。そうすることで、歯周ポケットに生息する嫌気性菌を生存できないようにします。しかし、ただ歯周ポケットを浅くするだけではなく、歯を支えている歯周組織を再生させることが有効な方法となります。それにより歯周ポケットの排除を図る歯周組織再生療法をここでは適用しています。

メインテナンス(SPT)

*SPT(サポーティブ・ペリオドンタル・セラピー)とは歯科衛生士が中心となって行う丁寧なメインテナンス・プログラムです。
進行した歯周病というのは、生活習慣病のひとつと考えることができます。他の生活習慣病(糖尿病や高血圧等)の患者さんが定期的に病院に行かれるように、歯周病の患者さんも定期的な来院が必要です。その都度、状態をチェックし、問題がなければクリーニングをし、また、歯周病の再発が見られた場合には早めの処置を行っていきます。

重度歯周炎の症例

歯周病CASE-3

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